生きてるだけでありがたみ

推しくんがずっと好きな仕事をしていられますように

汝、陰鬱なる汚濁の許容よ 〜文ステ/三社鼎立

こんにちはわたしです!

 

※ほぼ原作に沿った2.5にネタバレも何もないんですが、このエントリは舞台文豪ストレイドッグスのネタバレを含みますのでこれから観劇される方はご注意下さい。

 

 

突然ですが、私には二次元のアニメや漫画において、「性癖」と言っていいレベルでめちゃくちゃ好きな設定があります。

それは小柄で細っこくて童顔or綺麗な顔の、見た目だけなら決して腕っ節は強そうに見えないキャラ(男女問わず)がとにかく作中随一のパワータイプで、そしてさらにその小さいパワーキャラがリミッターを外して(あるいは外されて)自我を失いザ・ビーストと化す展開。

だから、初めて文ストのアニメで第21話「双つの黒」を見た時……「汚濁」を見た時、この原作者は天才だなと思った。私は文ストでの最推しキャラは中也ではなかったのだけど、文句なしに一番好きで死ぬほど見返したシーンは中也対ラヴクラフト戦です。何十回見ても飽きることがなかった。そもそもリミッターを外すキーに使うのがあの一節ってところがもう天才じゃないですか!?言葉通りを見ても「リミッター解除の呪文」としてなんら違和感がない上に、元の詩の解釈からしてもおおよそ意味は外れてないんですよ。私は実在の中原某をリアル厨二時代心酔していたのですがそういう意味でも本当最高なんだ……。

 

だから、初演で推しがキャストに決まった時から約二年間、いつか大好きな推しで大好きなシーンを観れる日を楽しみにしてきました。

 

 

本当は何が何でも初日に観たかったけどどうしても都合がつけられず、頭の地方二箇所を干さざるを得なかったのが悔しかった。全通や良席にはそこまでこだわりはないゆるゆるオタだけど、地方だけはなるべく追いかけたいという拘りもあったし、何よりただでさえ初日厨な上にずっと楽しみにしていたシーンがついにキャス変なしで推しくんの演技で観られるのに、最初に観られないのが本当に悔しくて極力情報をシャットアウトした。本来はあんまりネタバレ気にしないマンなので(そもそも2.5は原作予習派だからストーリーはおおよそ知ってることの方が多いし)どうしても初日行けない時なんかはゲネレポ記事とかわりと漁る方なんだけど、今回だけは本当に避けてた。出来れば画像の一枚もなるだけ目に入れたくなかったけど、推しくんの生放送の有料切り替えの蓋絵に普通に差し込まれて「コラーーーーーー!!!wwwww」ってなった。w

まあそんな個人の事情はさておき。

 

いよいよついに迎えたその瞬間。

ゆったりとした仕草で黒手袋を外しながら、アニメと同じトーンで推しの口から溢れる

「汝、陰鬱なる汚濁の許容よ。更めてわれを目覚ますことなかれ…」

そしてアニメとほぼ同じタイミングで流れる、アニメと同じ劇伴。

たとえでもなんでもなく、本当にブワッと毛穴が逆立った。その時私は、感動でも嬉し涙でもなく、ただ「興奮」で涙が出ることがあるんだと初めて知った。

だって本当に理想の舞台化だった。もちろん舞台で出来ることが限られているので、略されてる部分、変更されている部分はあるんだけど、それを補って余りある理想。

「汚濁」を発動し顔を上げた推しは、私の知っている推しくんではなかった。完全なる狂人の目。これが役者だ、って思った。原作ファンの全力の演出に、原作ファンの役者が全力で応えている。これが、私の好きな「役者」なんだ、って改めて思った。

あとね、どんなにやしきさんの演出と推しの演技力を信頼していても舞台だと絶対に無理だろうなってわかってたのが、あのビーストモードに入った時の刺青???みたいなのなんですけど、そこはもう諦めてたんですけどパンフ画像で補完されてて、いやマジでこの公式は天才か????????ってなったほんとありがとうございます…………できたらブロで欲しかったけど……(L版の紙好きマン)

 あと個人的にペトリウスのくだりの会話、私はすっごい好きなやりとりだし確かにあの二人の関係性を端的に表してるとは思うんだけど、シーンとしては完全に蛇足なのにカットせずにいてくれたことも個人的には脚本に大感謝でした…。もう全方向に感謝。

 本当に、繰り返し見た大好きなシーンを舞台化としての理想の形で推しのお芝居で観られたのであまりにも満足感が強くて、推しくんの出番が少なかったこととか言われなきゃ本気で気づかなかったです。いや初演もわりとそうだったけど、初演の時は出番が少ないことは最初からわかってて、ただ初見は普通に作品が面白かったから終わってから「そういえばあんま出てこなかったな…!」って感じだったんですけど、今回は普通に、えっそんなに出てこなかったっけ???めっちゃ出てた気がするけど……という感じでしたw

 

 

 

そんなわけで、汚濁以外の感想をば。

 

今回の舞台文豪ストレイドッグス、一言でいうなら「シリーズ最強の中屋敷節」という感じでした。私は2.5次元の舞台を観に行ったし、脚本やビジュアルは正しく王道の2.5次元なのに、ものすっっっごく「演劇」を観た!!!!という満足感があった。

汚濁が元々好きすぎるのであまりに語ってしまったけど、舞台作品としてはもう本当に全編面白かったんですよ。ちゃんと(っていうのも他作品に失礼だけど)演劇そのもので、それでいて2.5次元として原作の大事なところはきちんと拾っていて、バトルシーンが多いのもありダレるところもなく、そもそものストーリーが、かつて戦ったライバル同士がさらなる強大な敵を倒すために最終的に手を組むという王道勧善懲悪。

久々にこう見終わったあとにあんま頭使うことなく「おもしろかった〜〜!!!」って連番の友達と言い合える舞台だったな〜と。マジでどっちかが言って同意したとかじゃなく、会場出て二人同時に「いや〜〜文ステ面白かったな〜〜!!」って言ったからねw

初演や黒ステ初期の頃、中屋敷さんは自分のやりたい演劇と2.5でやらなければいけないお約束のバランスを、まだかなり試行錯誤していたように思います。やしきさんは演劇人であるいっぽうで根っからのオタクでもいらっしゃいます。舞台の演出は一種の二次創作だと思うのだけど、オタクとしての視点から見た時、原作を大事にして原作の表現から大きく外れないことに重きを置くのか、それとも自分の作風にごっそり原作を取り込むのか。舞台化というエンタメの表現としては、後者は好き嫌いはありこそすれ、どちらも間違いではないと私は思うんですよ。

そして先だっての黒ステUBでは、今までよりもかなり2.5の文法に寄っていました。(個人の感想です)これは勝手な私の予想ですが、(トンデモ技はありつつも)基本的にリアルなスポーツものの作品である黒バスではそうする方が舞台の上に持って来た時に原作の良さが引き出せるからだと思います。

それを経ての、今回の文ステ。席について舞台を見上げた時目に飛び込んできた、舞台奥に向かって強い傾斜のあるいわゆる「八百屋舞台」は、スポーツものの臨場感を狙った黒ステのセットよりももっとわかりやすくストレートな八百屋で、中屋敷版「半神」を強く思い出させました。(ていうかほぼまんま使いまわしてるのでは…?とすら思った)

そう来たかと思うと同時に、何を見せられるんだろうというワクワク感は、何もわからなかったはずの初演以上。そして三社は、その期待に120%の勢いで答えてくれた舞台だったんですよ。

スポーツものの黒バスと違って、文ステには『異能力』という設定がある。もちろん、生身の人間が生で演じCG等も使えない舞台では、そのまま表現することは出来ない。とはいえ今時の舞台の多くはプロジェクションマッピング技術を取り入れていて、それを駆使すればかなり寄せることは出来ます。けど、それに頼り切るとどうしても安っぽい舞台になってしまう。だってどうがんばってもマッピングは二次元ですからね。それを多様したら「三次元」でやる意味が薄れてしまう。アンサンブルの肉体を全力で使う演出によって異能を表現し、マッピングはあくまでその補完という手法は一作目からですが、そのバランスが今回の作品で完成に近づいた気がしました。

 

あとキャラとしてはラヴクラフトがあまりにも本物でこの人ほんとに人類か????と思いました。デカいし動きが普通ではない(褒めている)…よくこんな人いたな…柿は人材の宝庫か???

そしてなんといってもフランシス……!あの傲慢不遜と無敵感をあんなにも再現出来る人材他にいないでしょ…彼も推しキャラの一人なんですが、ポージングといい本当最高でしたありがとう…なんか最近推しくんが好きすぎてちょっとやばい人みたいになってるけど大好きですwww

乱歩さんは相変わらず可愛かった!しかし出番の少なさを補って余りあるインパクトのクレープおじさんに全部持っていかれるからずるいwwwwww円盤に全クレープおじさん(全クレープおじさん…?)を収録してくれ〜〜!

 

はー名古屋公演短い…おわってしまった…ってなってるけど来週また見るんだった。

次回作もぜひやってほしいけど、一期アニメ分終わったから、あるとしたらどこだろう…個人的にはデッドアップルがいいです。汚濁がまた見たい〜!