生きてるだけでありがたみ

推しくんがずっと好きな仕事をしていられますように

死神の精度〜複数回見た感想とか考察?とか

さて舞台『死神の精度~7Days Judgement』、東京公演が無事終わり地方公演が始まっております。

 

初日見た感想はこちら

korilakku.hatenablog.com

 

こちらのブログを見て観に行ってくださったという方が複数いらっしゃって、とてもとてもありがたいことです!いや私がありがたがっても何目線やねんって感じなんですけど…笑

なんか貢献したとかいうつもりは毛頭ないんですけど、別に舞台に限らず私の書いたものでこれ面白そうとか興味あるって思ってもらえるのは、とてもありがたいことじゃないですか。そういうメッセージとかいただくと、こんな自己満ブログでもやってて良かったなあって思います…!

 

 

さて自分の話は置いといて、上記の感想は初日のものなので、今回は原作を読み直し、更に何度か回数を重ねることで得た気付きとか考察みたいなものをつらつらと書いていこうと思います。単純に初日見落としてたこととかもあるので。

あくまで一人の観客として複数回観劇した個人の解釈なので、正解かどうかはわからないですしこれが正解だというつもりもないです。私は見ててこう思ったよ!って話。

便宜上初日の感想以上にがっつりネタバレしてますので気をつけて下さい。

 

 

■原作との違い

作品タイトルにもなっている『死神の精度』は、正確にはシリーズものの連作短編集です。この舞台は厳密には、その2本目の『死神と藤田』という作品をベースに、他の短編に出てくるエピソードをミックスしたオリジナル色の強い脚本になってます。原作はずいぶん昔に読んだので最初はピンと来なかったんですが、藤木一恵奥入瀬も別作品に出てくるキーワードなんですよね。

『死神と藤田』の良さって「死」という重いテーマを扱いながら良い意味でどこか軽い、まさにストーンズの曲っぽいあの全体的に淡々と飄々とした感じも多分にあると思うんで、そういう意味ではこの舞台はわりと改変が激しいと思うんですけど、ここらへんのエピソードチョイスのエモさが絶妙なのでひとつのオリジナルに近い舞台作品としてとても素晴らしいものになっていると思います。

 

■雨

これは初日の感想に単純に書きそびれたんですけど、この舞台、演出効果でセットのバックでずーっとリアルの「雨」を降らせてるんですよね。私、普通の舞台の演出でマジの水をこんなに大量に使ってるのを見たのは超大昔に観たテント系の小劇場以来でした。

基本的にはただ雨が振り続けているというだけの描写なので、後ろで生の雨を降らせてるという演出はラスト近くの例のシーンを除けば、そこまでするほどではないように見えます。でも、あの妙に生活感のあるアジトから出たり入ったりする中で、SEの雨音だけではなく屋根の隙間や開いたドアから垣間見える本物の雨があるからこそ、入ってきたキャラクターたちやその傘が濡れている事のリアリティを増し、彼らが「生きている」ということにさらなる説得力を持たせている気がしました。

そしてずーっと後ろで地味に本物の雨が降り続いていたからこそ、ラスト前のあの豪雨の中の藤田のシーンがあそこまでめちゃくちゃにかっこよかったんだと思うし、そしてラストの青空があんなにも感動的だったんだろうなと。

 

■阿久津という男

阿久津という若いヤクザはもちろん原作にも出てきますし前作舞台にも出てきます。原作の『死神と藤田』の阿久津はもうちょっとこうアホっていうか、本当に藤田の信者なんだなって感じで。ただただ純朴に藤田を尊敬しヒーローだと信じてて、でも下っ端の阿久津は自分を守るために藤田を裏切らなければならないっていうところで葛藤している。尊敬する人と組織との板挟み。舞台版の阿久津には、そこに更に幼少時のトラウマと藤田との個人的な確執という事情が加わり、更に複雑な心理になっている。そのあたりは前作も同じ。

ただ前作のレポもいくつか漁ったけど、やっぱり前の阿久津とも明らかにキャラが違うなと感じました。多分これアテ書きに近いのではないかなと。原作の阿久津というキャラをベースに舞台版ならではの設定を盛ったところは同じだけど、単純に演技そのものの違いだけではなく演出意図として前の阿久津とは違うキャラになっていたのではないかと思います。明確にその差がわかるのが個人的には千葉に過去のことを語る場面で剥いているものの違いではないかと。推しくんがりんごを剥くあのシーンで、中川阿久津はじゃがいもだったらしいんですが、面白い違いだなって個人的に思いました。レポや画像での印象のみなので実際どうかはわからないんですが中川阿久津の方が原作に近いイメージだったので、確かに阿久津が剥くならじゃがいもだよな!って。でも推しくんの阿久津は絶対りんごなんですよ!!すごく説明しづらいんだけど、観た人には伝わるよね?いやどうだろう???

そういう細かいところの違い、もっと見たかったなあと思うので過去作が映像化していればなー…。てか今作も円盤化して欲しかったですけどまあ多分無理だよねこれ!曲がね…!

 

■ポーン(?)という音

作中、ところどころでポーン?フーン?かなんかそんな感じの『音』がします。これ多分死神の予感?いや先読みというか、多分ターゲットの死にある程度関係の深い人間が近くに来たり連絡したりしてきたことを死神が気付いた時の音なのかな…?

でも冒頭で藤田が(おそらく)千葉の存在に気付いたっぽいところでもこの音が鳴るんですよね。とすると死神に限らず何らかの気づきというか虫の知らせ?みたいなので鳴るのかな…?はっきりとした定義はまだわからないんですけど、とにかくこの音に気付いてから見ると結構細々とした伏線が最初から張られていることがわかって「おお…!」ってなります。

 

■阿久津は話を聞いていたのか

藤田が阿久津をコインランドリーへ追い出して千葉に過去を語る場面。ここで話の途中で阿久津が上手の暗がりに出てきてしばらく座り込んで、思い悩んでるような仕草をしている描写があります。

ここで藤田が不自然にドアを開けたりするのもあり、観ている側は「もしかしてドアの外に阿久津がいて、話を聞いているのでは?」と考える人も多いと思うんですが、これよく観察してると本当にそこの判断が微妙で。

そもそもあそこの場面の阿久津くん、よっぽど舞台の内容おかまいなしでひたすら推し定点してるタイプとかでもない限りは(それでも上手寄り前方席でもない限り、初見では最初出てきたのにすらすぐ気付けるかは微妙な気がしますが…)あまり細かい仕草や表情はわからないと思うんです。ここのところの演出意図がめちゃくちゃ気になってたので、愛知で少し離れた上手席の時にこのシーン双眼鏡であえてずーっと阿久津くんを見てました。

実際、藤田と千葉の会話を聴きながらずっと観察していると、リアクション的にはこう、うまいことどっちとも取れる感じで聞いてるとは言い切れないんですよねこれ。ちなみに前作ではここのシーンは階段を移動してるかなんかで完全に「話を聞いているのでは?」という解釈は生まれなさそうな描写だったみたいなので、ここは今作の阿久津のイメージに合わせて意図的に演出を変えてるんだろうなと思います。前作と同じく、ずっとあのアジトで一緒にいた二人が核心に触れた話をしている時に限って別の場所にいるという二人のすれ違いを物理的に表しているとも取れるし、上手のあの場所はドアのすぐ外でそこに阿久津がいることを知ってて藤田は話しているようにも取れる。

このシーンの阿久津は、その前に持ち出した傘と洗濯物を持っていないので、単純にコインランドリーで洗濯待ちの間に色々思い悩んでいるのかとも取れます。でもフードを深く被っている=ざざ振りではないけどある程度雨がかかる場所(軒下など)という解釈もできます。

藤田がドアをあけて、阿久津が引き取って最初の頃はずっと口を聞かなかったという話をした時、基本的に純粋に自分が疑問に思ったこと以外は「ああ」とか相槌しかうたない千葉が「そうなのか?」と聞き返します。これ、ドアの外の阿久津に言っているようにも取れるんですよね。ただ、あの場面で上記の「ポーン」という音はしない。だから阿久津はそこにいないとも解釈出来る。ほんと、とことんまで「どっちにも読み取れるシーン」として描かれているのではないかな?と私は思いました。

基本的にあのシーンの阿久津の仕草とか表情ってほんと微妙で、話に反応しているようにもただ単に悩んでいるだけにも見えるんだけど、ひとつだけはっきりとしたアクションがあって、携帯に反応して画面を確認するんです。そのあと明らかに苦悩するような仕草をして、少しして立ち去ります。多分ここで藤田のドスを見せてやるから来いとかなんかそういうメールが入ったのではないかな。あのあと阿久津が7日目まで帰らなかったということから考えても、あの時点で7日目に藤田を消す計画がはっきり決まったからそれ以上「見張る」必要がなくなったのと、藤田と顔を合わせると決心が鈍るからという二つの理由からかな、と思いました。あのシーンの阿久津で、唯一この部分は(気付く人だけ気付けばいい系演出ではあるけど)曖昧でない明確な表現で面白かったです。

 

奥入瀬と阿久津の復讐

初日の感想で二人が奥入瀬に行けなかったことがただただ私が悲しくて泣いたって話を書きました。それは今でもそうで、今この瞬間でもそのことを考えると泣きそうになってしまいますし、観劇中でも初日は本編そのものではそこまで泣かなかったんですけど、一度観て先を知ってしまっていることでもうそのワードが出てきただけでめちゃめちゃ泣いてしまいます。だって行けないんだもん奥入瀬

ただ初日は完全に見落としてたことがひとつありまして。正確には見落としていたというか、ちゃんと見てはいたし記憶にも残ってはいたんですけど初日を見た段階ではこうしんどすぎて単純に私の頭の中で繋がらなかったんです。

本当の物語のラストはサラッと文字のマッピングで一瞬しか出てこないんですが…阿久津が逮捕されたのって「青森」なんですよね。青森って奥入瀬のある県じゃないですか。

ああ、あの子行ったんだ、って。ひとりで、奥入瀬に、ってこれは二度目の観劇でハッと気付いて。それに気付いた時、初日見た時以上になんか複雑な気持ちになりました。

どんな気持ちで奥入瀬に行こうと思ったんだろう。まあ彼の事だから、なんかどっかに逃げなきゃ!ってなった時にとりあえず浮かんだのが奥入瀬だった程度なんだろうけど。そもそも両親と同じ罪をあえて犯したのは何故なのかとか、藤田の死が本当にただの事故なのか、そこは全く描かれないまま、ただ「事実」のみを描写されて終わります。だからそこは観た観客それぞれの勝手な解釈におまかせって感じなのかなって思っていて。

私は、阿久津は阿久津なりに、本当に自分がころすべき相手、仇をうつべき相手が誰(何)なのか、藤田を失うことでようやくわかったのかなって思いました。彼の仇は「組」そのものじゃないですか。組長をころしたって何にもならないんです。正直、阿久津のあのオツムでマル暴とか知ってたのかは微妙ではありますけど、2009年という時代背景からするともうかなりヤのつく組織への取り締まりが厳しくなっていた時代ですからぼんやりとは耳に入ってたんではないかと思います。「逮捕」というと逃げてるところを追いかけられて捕まったイメージに捉えがちですけど、これ出頭した可能性もあるんですよね。まああの阿久津が最初からそこまで考えて金を盗んだとも思えないので、ほんとにただ衝動的に盗んで奥入瀬向かってそこで捕まって警察に説得されたのかもですが…どちらにせよ小心者の彼の本当の意味での『仇討ち』は奥入瀬の地で始まったんだなあ。

そう考えるとやっぱり、藤田もただの事故ではなく組に消されたセンが強い(もしくは少なくとも阿久津はそう思った)のではないかなあと。これはもう完全に二次創作的な個人の解釈なんですけど!

 

■小ネタ

藤田の留守中に勝手にプラモ完成させてる千葉すき。

 

■一恵ちゃんだよ

もともと知ってる人は聞いたら一発でわかったんだろうなとは思うんですが!

一恵ちゃん(と作中でされている)の曲めっちゃ欲しくて、これ絶対既成曲だよね?ってウロ覚えの歌詞で検索しました。

 

EGO-WRAPPIN finger http://j-lyric.net/artist/a0005d8/l013db6.html

EGO-WRAPPIN アマイ カゲ http://j-lyric.net/artist/a0005d8/l03a5ef.html

 

iTuneストアにも売ってるので早速買いました。っていうか歌詞やばくないですか泣くむり;;;;;

あとストーンズは全部知ってる曲なんだけど、いかんせんブラウンシュガーくらいしかタイトル覚えてないので実際にどの曲か見つけるのめんどくせー!公式使用曲ツイートしてくれんかな〜w